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「商社・代理店=中抜き」は大きな誤解。できる人は「参謀」として使い倒す

ぶっちゃけ商社って「中抜き」してるだけですよね?
直取引のほうが安くないですか?

その気持ち、よく分かるよ。
担当者が全然動いてくれなかったりすると、イラッとするよね。

商社不要論。
ネットで世界中と繋がれる今、そう思うのは当然かもしれません。

でも、20年やってきて気づいたんです。
商社や代理店はただの商社マージン取りじゃなくて、ビジネスという荒波を進むための「高性能なエアバッグ」なんだってこと。

こんな方におすすめ
・「コスト削減しろ」と詰められ、ストレスフルな人
・商社を通す理由を説明できず、モヤモヤしている若手バイヤー
・言われたとおり価格交渉だけの「御用聞き」的なバイヤーから脱却したい人

この記事で得られること
・商社 マージンが「高い」と感じなくなる論理的思考
・トラブル時に自分を守る、プロのリスク管理術
・商社を「業者」から「最強の味方」に変える交渉テクニック

目次

悔恨の記憶と「見えないコスト」の正体

正直に白状します。
私も度々「商社外し」を画策することがあります。

会社からの厳命で「調達 コスト削減15%」。焦った私は、商社経由で買っていた部品を、中国・広東省のメーカーからの直取引に切り替えようとしました。

これでマージン分が浮く!

商社の抵抗をなんとか突破し、直接取引に成功。

単価は確かに下がった。

でも、そこからが地獄の始まり。
品質基準の認識ズレによる大量の不良品、通じない深夜の国際電話、そして急遽現地へ飛ぶことになった航空券代と宿泊費。

【当時のコスト試算結果】
・削減できた部品単価:▲50万円
・発生したトラブル対応費(渡航費・廃棄損・選別工数):+180万円

結果:130万円の赤字(+私の残業時間プライスレス)

我々が見ている「見積書の金額」なんて、氷山の一角に過ぎない。水面下には「言語の壁」「品質リスク」「物流トラブル」という巨大なコストが眠っている。

商社 マージンとは、これらを丸ごと引き受けてもらうための「保険料」であり、面倒な実務をプロに任せる「業務委託費」だったんです。

絶望的なコンテナ不足と物流の神対応

モノを運ぶなんて、誰がやっても一緒でしょ?

そう思っているなら、認識を改めてほしい。

世界的なコンテナ不足で、物流が麻痺したあの時期のことです。
私の担当ラインも、部品枯渇で生産停止の危機に瀕していました。どの船会社に電話しても「スペースがない(No Space)」の一点張り。

その時、救世主が現れました。
長年の付き合いがある専門商社のTさんです。

なんとか一本、スペース確保しましたよ。
他社向けを調整してねじ込みました

なぜ彼らにできて、私にできなかったのか?
それは「バイイングパワー(購買力)」の差です。
彼らは他顧客分も合わせてコンテナを扱う大口顧客。船会社に対する交渉力が桁違いなんです。

ただ運ぶだけじゃない。
有事の際にサプライチェーンを繋ぎ止めるこの「強制力」こそ、商社を使う最大のメリットかもしれません。

眠れない夜を救う金融の防波堤

地味だけど、経営視点で見るとめちゃくちゃ大事なのが「カネ」の話。

特に、技術力はあるけど財務基盤が弱い中小サプライヤーや、カントリーリスクのある新興国との取引です。

以前、海外で見つけた素晴らしい技術を持つ中規模のメーカと取引しようとした時のこと。海外での取引は前払いも普通です。
そのメーカは与信が悪く、経理部から「与信NG」が出ました。
「いつ倒産するか分からない会社に前払いはできない」と。

設計・製造部は使う気満々で、新製品発売に向け、スケジュールを強引に進めています。

板挟みになった私を助けてくれたのも商社でした。

  • 商社が工場に「現金払い」を実行
  • ウチには「翌月末払い」で請求
  • 「倒産リスク」と「資金繰り」を商社が肩代わり

もし商社がいなければ、あの技術は採用できなかったし、スケジュールもひっくり返ったでしょう。
この取引の手数料は、この安心感に比べれば安いもんでした。

検索では辿り着けない「血の通った一次情報」

ネットで何でも調べられる時代?
いえいえ、本当に価値のある情報はネットには落ちていません。

Google検索に出てくるのは「過去の事実」だけ。
商社が持ってくるのは「血の通った一次情報」です。

例えば、最近話題の「欧州でPFAS(有機フッ素化合物)の規制案が強化されるらしい」という情報。

これが日本でニュースになるだいぶ前に、商社の担当者が「現地でこんな噂が出てます。御社のこの部品、代替材を探しておいた方がいいかも」と教えてくれたことがあります。

世界中に駐在員を置き、現地の生臭い情報を足で稼ぐ。
この「情報収集機能(インテリジェンス)」を自社だけで構築しようとしたら、何億円かかることか。

賢いバイヤーの「いいとこ取り」戦略

ここまで商社を絶賛してきましたが、じゃあ「全部丸投げ」すればいいかと言うと、それはそれで思考停止。
依存しすぎると社内にノウハウがたまらず、中長期的な競争力を失います。

じゃあ、どうやって使い分けるんですか?

私が実践しているのは、以下の「ハイブリッド戦略」です。

【プロの使い分け基準】
・コア技術・戦略物資
  ⇒ 直取引(関係強化・ブラックボックス化)

・汎用品・雑多な部材
  ⇒ 商社活用(管理工数の削減)

・リスクが高い海外調達
  ⇒ 商社活用(リスクヘッジ・物流網利用)

要は「適材適所」。
自分が汗をかくべき場所と、カネを払ってプロに任せる場所。

この「目利き」ができるかどうかが、できるバイヤーとそうでない人の分かれ道になる気がします。

明日から商社を「参謀」に変える3つの実戦アクション

商社を単なる「業者」として扱うか、「参謀」として味方につけるか。その差は、あなたのちょっとした行動の変化で決まります。 明日出社したら、ぜひこの3つを試してみてください。

「終わりの5分」でキラークエスチョンを投げる

定例の打ち合わせで、見積もりの話が終わった後、必ずこう聞いてみてください。

最近業界で『嫌な予兆』を感じるニュースはありますか?

他社さんが今、一番困っていることって何ですか?

ネットニュースは「過去」ですが、現場の担当者が持っているのは「未来の予兆」や「他社のリアルな失敗事例」です。
この一次情報を引き出すだけで、あなたのリスク感度は爆上がりします。

②マージンを「人件費」と比較計算してみる

「商社マージンが高い」と嘆く前に、一度電卓を叩いてみましょう。

  • 輸入通関にかかる時間 × 自社の時給
  • トラブル対応で拘束される時間 × 自社の時給
  • 在庫を置く倉庫代

これらを「自社対応コスト」として算出し、商社マージンと比較してください。
「あれ、意外と安いな(=保険料として妥当だな)」と思えたら、自信を持って関係部門に説明できるようになります。

③「値下げ」の前に「悩み」をブツける

「安くして」と連呼するのは二流です。一流は「悩み」を相談します。

  • 「実は、小ロットの発注処理が面倒で…」
  • 「倉庫がパンパンで入りきらないんです…」
  • 「工場の納期遅れが多くて困っていて…」

これらを伝えると、商社は
「じゃあ、まとめて納入しましょうか?(=物流費削減)」
「ウチの倉庫で預かりますよ(=在庫削減)」

と、値段以外の解決策(ソリューション)を出してきます。

これが、彼らの機能を使い倒すということです。

あなたの隣にいる商社の営業担当者。
彼らを最大限に活用し、自分の仕事を楽にしながら成果を出す。

それが、プロのバイヤーの生存戦略です。

商社・代理店を「参謀」として使い倒すには、あなた自身の交渉力が高くなければ彼らも本気を出してくれません。
Udemy講座「コスト削減交渉術」は5時間の本格プログラム。
交渉スキルを体系的に身につければ、商社・代理店との連携もワンランク上のステージへ引き上げられます。
“使い倒す側”のバイヤーになりましょう。

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