主要な調達KPIの早見表

調達・購買の現場で使う主要なKPI(重要指標)を、定義と計算式で1枚にまとめました。

コストと価格、在庫と納期、サプライヤー評価、支出管理の4区分です。
式そのものだけでなく、20年の実務で「どこで役に立つか」を1行ずつ添えています。

スマートフォンでは、表を横にスクロールして全体を表示できます。

コストと価格の指標5指標

名前計算のしかた / 使いどころ / 関連(用語・ツール)
総所有コストTCO / Total Cost of Ownership
総所有コスト購入費用物流費在庫保管費品質不良コスト保守費廃棄費用
買った後にかかる費用まで含めて総額で比べる。一番安い見積もりが一番損だった、という逆転をあぶり出す指標。
購買価格差異PPV / Purchase Price Variance
購買価格差異標準単価実際の購入単価×購入数量
予算(標準単価)より高く買ったか安く買ったか。マイナスは予算超過。品目別に原因をつぶしていく。
コスト削減率Cost Reduction Rate
コスト削減率旧単価新単価÷旧単価×100
前より何パーセント安く買えたか。金額でなく率で見ると、規模の違う品目どうしを横並びで比べられる。
コスト回避額Cost Avoidance
コスト回避額値上げ通告後の単価実際の購入単価×数量
値上げ通告をはね返した分。損益計算書には出ないので、旧単価を基準に数えて、削減と二重に数えない。
調達ROIROI / Return on Investment
調達ROIコスト削減額コスト回避額÷調達活動にかけたコスト
調達部門がかけた費用の何倍の価値を生んだか。経営に活動を説明するときの、一枚看板になる。

在庫と納期の指標6指標

名前計算のしかた / 使いどころ / 関連(用語・ツール)
在庫回転率Inventory Turnover
在庫回転率売上原価÷平均在庫金額
1年で在庫が何回入れ替わるか。低いと寝ている在庫、高すぎると欠品しやすい。適正は品目によって違う。
在庫日数Days of Inventory
在庫日数365÷在庫回転率
いまの在庫が何日分あるか。資金が何日ぶん在庫に化けているかの目安。回転率と裏表の関係。
経済発注量EOQ / Economic Order Quantity
経済発注量2×年間需要量×1回あたり発注コスト÷1個あたり年間在庫保管費
まとめ買いで運賃は減るが在庫は増える、その釣り合いが取れる1回の発注量。感覚の発注量を見直すとき。
発注点・安全在庫ROP / Reorder Point
発注点リードタイム中の平均需要安全在庫
在庫がこの数を切ったら発注する合図。納期が延びやすい相手ほど、安全在庫を厚くして発注点を上げる。
納期遵守率OTD / On-Time Delivery
納期遵守率納期どおりの納入件数÷全納入件数×100
約束の日に入れてくれた割合。取引先の信頼度を数字で管理する、基本のものさし。
調達リードタイムLead Time
リードタイム入荷日発注日(複数回の平均日数)
発注してから届くまでの実日数。カタログ値でなく実績の平均で持つ。安全在庫と発注点の土台になる。

サプライヤー評価の指標4指標

名前計算のしかた / 使いどころ / 関連(用語・ツール)
受入不良率PPM
受入不良率不良品の数÷受入検査した総数×100
受け入れた品のなかの不良の割合。百万個あたり(PPM)で表すと、精密部品でも扱いやすい。
欠品率Stockout Rate
欠品率欠品した件数÷全注文件数×100
客先や現場を止めた回数の割合。安全在庫を削りすぎると上がる。回転率とセットで見る。
サプライヤー総合評価SPI / Supplier Performance Index
総合評価指数実績スコア÷目標スコア(1.0が期待どおり)
品質・納期・コストなどを合わせた総合点。1.0を境に、期待どおりかどうかを一目で判断する。
サプライヤーリスクスコアSupplier Risk Score
リスクスコア財務・実績・地政学・法令遵守の各点数を重みづけして合計
取引先の危うさを1つの点に束ねる。1社への依存や与信の悪化を、早めに見つけるための指標。

支出管理の指標4指標

名前計算のしかた / 使いどころ / 関連(用語・ツール)
管理対象支出比率Spend Under Management
管理対象支出比率調達が管理している支出÷総支出×100
会社の支払いのうち調達が握れている割合。低いと、現場のばらばら購買が多い証拠。
マーベリック購買比率Maverick Spend Rate
マーベリック購買比率契約外の購買額÷総購買額×100
決めた取引先や手順を通さずに買われた割合。高いほど、交渉した価格や条件が守られていない。
契約遵守率Contract Compliance
契約遵守率契約に沿った購買額÷総購買額×100
決めた取引先・条件で買えている割合。交渉した契約が、現場で守られているかを測る。
支払サイトDPO / Days Payable Outstanding
支払サイト買掛金÷年間仕入高×365
仕入れの支払いまで平均何日かかるか。長いほど手元資金は楽になるが、延ばしすぎると取引先の信用を損なう。

この早見表の使い方

上の目次から、気になる区分へ移動できます。1つの指標は上下2段で1組です。左端に指標の名前、上の段に計算のしかた、下の段に使いどころと関連が並びます。関連のところには、その言葉の意味をまとめた用語集への青いリンクと、公開済みの計算ツールがある指標では、区分色で塗った計算ツールのボタンが並びます。スマートフォンでは、表を横にスクロールして全体を表示できます。

KPIを使うときの前提

式は基本形です。実際に使うときは、自社の単価・数量・在庫金額・リードタイムなど、手元の数字を当てはめてください。同じ式でも、分子と分母に何を置くかで結論が変わります。たとえば在庫回転率は、分母を平均在庫にするか期末在庫にするかで、受ける印象が変わります。KPIは1回の値だけで判断せず、目標値とセットで、時系列の動きで追うのが基本です。他社や前年と比べるときは、前提もそろえて比べます。

数字は前提しだいで動きます。相手や上司に説明するときは、使った数字の出どころを一緒に示すと、話が通りやすくなります。コスト削減額とコスト回避額のように似た指標は、基準にする単価をそろえないと、同じ効果を二重に数えてしまいます。

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