購入単価だけでなく、物流費・在庫保管費・品質不良の手直し費用まで足し合わせて、本当の調達コストを計算します。
数字を入れると、下に総所有コストと内訳がすぐに表示されます。まずは仮の数字が入っているので、そのまま動きを確かめてから、自社の数字に置き換えてください。
総所有コスト(TCO)とは
購入単価は、調達コストの一部でしかない。実際に払っているのは、単価に加えて、運んでくる物流費、在庫を持つ費用、不良品の手直し費用、保守費用、使い終わったあとの廃棄費用まで含めた合計になる。これを総所有コスト(TCO、Total Cost of Ownership)と呼ぶ。単価だけを比べて安いと判断すると、隠れた費用の分だけ、あとで高くつくことがある。
この計算に含めた6つの費用項目
それぞれの項目は、次のような理由で見落とされやすい。
- 物流費: 単価の交渉にばかり気を取られ、運賃は別枠の費用として見落とされやすい。
- 在庫保管費: 倉庫や資金にかかる費用は総務・経理の予算に紛れ込み、購買の数字として意識されにくい。
- 品質不良コスト: 良品率が高いサプライヤーほど、不良対応にかかる手間そのものを数えなくなる。
- 保守費: 初期の見積もりには入っておらず、契約したあとに別途請求されて気づくことが多い。
- 廃棄費用: 使い終わったあとの話なので、購入する時点ではそもそも検討の対象に入らない。
診断士バイヤーの読み解き
単価が1割安いという理由だけで仕入先を切り替えると、物流費や在庫費用、不良対応の手間まで合わせたときに、かえって高くつくことがある。上の総所有コストと、購入単価だけを見た金額を並べて見せると、値上げ要請への反論材料にも、切り替え検討の判断材料にもなる。
交渉の場では、サプライヤーに単価だけでなく、この6項目の内訳を出してもらうよう求めるとよい。内訳を出せるサプライヤーは、自社のコスト構造を把握しており、値上げ交渉でも根拠のある話ができる相手だとわかる。内訳を出し渋るサプライヤーは、それ自体が交渉材料になる。
社内で「なぜこのサプライヤーを選んだか」を説明するときも、単価の安さだけでなく、総所有コストで見て有利だったことを数字で示せると、説得力が増す。
この計算の前提と限界
この計算は、6つの費用項目を単純に足し合わせた、教科書どおりの考え方になっている。実際には、為替変動のリスク、支払条件による資金コストの違い、サプライヤーを切り替える手間など、金額に換算しにくい費用も存在する。ここに出た数字は交渉と判断の出発点として使い、最終的な判断は個別の事情を加味して行う。