需要のばらつきとリードタイム(発注してから入荷するまでの日数)を見込んで、切らさないための安全在庫と、在庫がどこまで減ったら発注をかけるかの発注点(ROP)を計算します。
欠品許容率(何回の発注のうち何回までの欠品を許すか)を入れると、必要な安全係数を自動で換算します。数字を入れると、計算の途中式と在庫の動きの図がその場で表示されます。
数字を入れると、下に発注点と安全在庫、計算式、そして在庫の動きの図がすぐに表示されます。安全係数は、欠品許容率から自動で出すか、自分で直接入れるかを選べます。まずは仮の数字が入っているので、そのまま動きを確かめてから、自社の数字に置き換えてください。
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縦は在庫の量、横は時間の経過です。在庫は日々の需要で減っていき、発注点(青い破線)に届いたら発注し、リードタイムのあとに入荷して回復します。安全在庫(濃い破線)は、その谷が切らしにならないように下に残しておく余裕です。図の山の高さ(1回の発注量)は見やすさのための目安で、実際の発注量はこの計算では決めません。
安全在庫と発注点(ROP)とは
需要もリードタイム(発注してから入荷するまでの日数)も、そのとおりに読み切れることはない。
実際の使われ方は日によってばらつくし、入荷が予定より遅れることもある。
だから、平均どおりに在庫を用意しただけでは、需要が上振れしたときや入荷が遅れたときに切らしてしまう。この読み違いに備えて、平均のうえに積んでおく余裕が安全在庫になる。
そして、在庫がこの数まで減ったら発注をかける、という補充のラインが発注点(ROP、Reorder Point)になる。
発注点は、リードタイム中に平均どれだけ使うか(リードタイム中の平均需要)に、この安全在庫を足したものになる。
安全在庫そのものは、安全係数(Z)に、1日の需要の標準偏差(σ、ばらつきの大きさ)と、リードタイム日数の平方根を掛けて求める。
欠品許容率から安全係数を決める
安全在庫の大きさを左右するのが安全係数になる。
この係数を、どこまでの欠品を我慢するかという「欠品許容率」から決める。
欠品許容率は「サービス率」とも呼ばれ、100回の発注のうち何回までの欠品を許すかを表す。欠品許容率を5%に置くなら、20回に1回までは切らしてもよい、という意味になり、対応する安全係数はおよそ1.65になる。
欠品許容率を1%まで下げれば安全係数は2.33へ上がり、安全在庫も増える。
このツールでは、欠品許容率を入れると安全係数を自動で換算する。安全係数そのものを手元の表から直接入れたいときは、入力方法を切り替えられる。
なお、ここで言う欠品許容率は「発注1サイクルのあいだに一度でも欠品する確率」を指すもので、需要数量のうち在庫から満たせた割合(フィルレート)とは別の指標になる。安全在庫の式で使うのは前者になる。
- 安全係数(Z):
どれだけ欠品を許さないか。欠品許容率を小さくするほど安全係数は大きくなる。 - 需要のばらつきの大きさ(標準偏差σ):
日々の需要が平均からどれだけ散らばるか。散らばりが大きいほど、備える余裕も大きくなる。 - リードタイムの長さ:
補充を待つ日数。長いほど、その間の読み違いに備える必要がある。ただし平方根で効くため、日数に正比例はしない。
診断士バイヤーの読み解き
欠品許容率を5%から1%へ下げると、安全係数が1.65から2.33へと跳ね上がり、安全在庫とそこに寝る資金が大きく膨らむ。
すべての品目を一律に低い欠品許容率でそろえると、在庫全体が重くなる。欠品したときの痛手が大きい品目(生産を止める部品、代替の利かない品目)に絞って欠品許容率を下げ、切らしても影響の小さい品目は思い切って上げる、というメリハリが要点になる。安全在庫を最も効果的に減らせるのは、多くの場合リードタイムの短縮になる。
式のうえでも、リードタイムを縮めると安全在庫は平方根で下がっていく。サプライヤーとの納期の詰めや、内示・注文の前倒しでリードタイムを縮める交渉は、在庫を減らす本筋になりうる。
欠品許容率を上げて欠品リスクを取りにいくより、まず補充を待つ日数そのものを短くできないかを見たい。標準偏差(σ)は、実績データのばらつきから求めるのが基本になる。手元にデータがなければ、まず平均需要の2割から3割を仮に置いて計算を回し、実績がたまってきたら本当のばらつきに置き換えて直していく。仮の数字のまま固定せず、動かしながら精度を上げるのが実務の順序になる。
この計算の前提と限界
この式は、需要が正規分布(平均のまわりに左右対称に散らばる、教科書的なばらつきの形)に従うこと、そしてリードタイムが一定であることを前提にした、単純化した形になっている。
実際には、リードタイム自体も入荷ごとにばらつくし、需要も正規分布からずれることが多い。
とくに需要が大きく偏る品目や、まとめて動く品目では、この式の見積もりと実態がずれやすい。
ここで出た数字は、発注点や安全在庫の水準を決めるときの出発点として使い、実際の欠品の起き方や在庫の余り方を見ながら調整していくのがよいと考えられる。