1年間に在庫から出ていった金額と、平均の在庫金額から、在庫が1年で何回入れ替わるか(在庫回転率)と、平均して何日分の在庫を抱えているか(在庫日数)を計算します。
数字を入れると、下に在庫回転率と在庫日数、計算式、そして在庫の動きの図がすぐに表示されます。まずは仮の数字が入っているので、そのまま動きを確かめてから、自社の数字に置き換えてください。
縦は在庫の金額、横は1年間の時間の流れです。在庫は日々の出庫で減っていき、なくなる前に補充されて元に戻ります。この山ひとつが在庫の1回の入れ替わりで、1年間の山の数が在庫回転率、山ひとつ分の横幅が在庫日数にあたります。回転が速いほど山は多く細かく、遅いほど山は少なくゆったりします。山の高さ(1回の補充量)は見やすさのための目安です。
在庫回転率と在庫日数とは
在庫回転率は、1年のあいだに在庫が何回入れ替わったかを表す数字。
1年間に在庫から出ていった金額(売上原価や年間の出庫金額)を、その期間の平均在庫金額で割って求める。
回転率が8回なら、1年で在庫がおよそ8回まるごと入れ替わった計算になる。
これを日数に直したものが在庫日数で、365日を回転率で割ると出る。
回転率8回なら在庫日数はおよそ46日、つまり平均して46日分の在庫を抱えている、という読み方になる。
上の計算式と図は、この関係をそのまま形にしたもので、山ひとつが在庫の1回の入れ替わり、山の横幅が在庫日数にあたる。
なぜ在庫回転率を見るのか
在庫は、まだ現金になっていない資金が形を変えて眠っている状態だといえる。
同じ売上を上げるのに在庫が少なくてすめば、それだけ資金が手元に残り、別のことに回せる。
回転率を見るのは、この資金の効率を確かめるためで、次のような損得が背景にある。
- 資金の効率:
回転が速いほど、少ない在庫で同じだけ商売が回る。寝ている資金が減り、資金繰りが軽くなる。 - 保管と劣化のリスク:
在庫を長く持つほど、倉庫の費用がかさみ、劣化や陳腐化で価値が下がる危険も増える。回転が遅いほどこのリスクは大きい。 - 欠品との綱引き:
ただし回転を上げようと在庫を削りすぎると、今度は欠品して売り逃す。回転率は、欠品しない範囲でどこまで在庫を絞れるかの目安になる。
在庫回転率を実務でどう使うか
1つの数字を出して終わりにせず、次の順で読み解くと、明日からの打ち手につながる。
得られるインサイト(気づき)は、たいていこの3段階で深まっていく。
まず全体の在庫回転率と在庫日数を出し、資金が平均して何日分眠っているかを体感する。在庫日数の帯を見れば、1年のうちどれだけの期間、在庫に資金が縛られているかがひと目で分かる。
単発の値だけでは良し悪しは決まらない。自社の去年・一昨年と時系列で並べ、さらに品目群(ABC分析や商品カテゴリ)ごとに分けて計算する。速い品目と、何か月も動かない不動在庫が混ざって平均されているので、分けて初めて「どこが足を引っ張っているか」が見えてくる。
回転の遅い品目に絞り、まとめ買いのロットが大きすぎないか、発注の頻度、リードタイム(補充にかかる日数)、需要予測のどこに原因があるかを当たる。
原因の見当がついたら、そこから一つずつ直していく。
診断士バイヤーの読み解き
回転率は高ければ高いほど良い、という単純な数字ではない。
上げようとして在庫を削りすぎれば欠品が増え、かえって売上と信用を失う。速く回すことと、切らさないことの、ちょうど良い折り合いを探すための物差しとして使う。全社を一括りにした回転率を見ても打ち手は出てこない。動きの速い品目と、何か月も動かない不動在庫が混ざって平均されるからだ。
品目をABC分析で分け、回転の遅いところに的を絞って初めて、まとめ買いのしすぎや発注ロットの見直しといった具体的な手が見えてくる。
この計算の前提と限界
この数字は、平均在庫金額をどう取るかで変わる。
期首と期末の2点の平均で出すか、毎月末の残高を平均するかで、季節変動の反映度合いが違ってくる。
在庫の波が大きい商売ほど、月次の平均で見るほうが実態に近い。ここで出た回転率は、自社の過去の推移や同業の水準と並べて初めて意味を持つ数字なので、単発の値だけで良し悪しを決めず、品目群ごと・時系列で追うことをすすめる。
なお、上の図の山の高さ(1回の補充量)は見やすさのための目安で、実際の発注量を表すものではない。