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もう社内調整で疲弊しない!設計・開発部門を味方につける資材調達の交渉術

また設計から急な仕様変更か…
もうサプライヤーに下げる頭はないよ…

ある新製品の量産立ち上げを目前にした工場で、設計部のエースと激しく言い合った日のことを思い出します。
社内調整という名の霧が晴れず、お互いに疲弊しきっていました。

こんな方におすすめの記事です

・設計・開発部門とのやりとりに正直うんざりしている方
・サプライヤーと社内の板挟みで精神的にすり減っている中級者の方
・「御用聞き」ではなく、専門家として頼られる存在になりたい方

この記事で得られること

・社内調整が驚くほどスムーズに進む、具体的な交渉術
・設計・開発部門から「頼れるパートナー」として一目置かれる立ち位置
・日々のストレスが減り、資材調達という仕事の面白さを再発見できるきっかけ

目次

絶望的なすれ違い!なぜお互いに分かり合えないのか?

なぜ、資材調達と設計・開発の連携はこんなにもうまくいかないのでしょうか?
結論から言うと、お互いが見ている景色、つまりミッションが根本的に違うからです。

  • 設計・開発部門のミッション:
    最高のスペック、革新的な機能の実現(品質・性能が最優先)
  • 資材調達部門のミッション:
    最適なコスト、安定した供給の実現(コスト・納期・安定供給が最優先)

どちらも会社のためを思っているのに、向いている方角が違う。
だから、普通に話していても、言葉がすれ違うばかりで、いつの間にか対立構造が生まれてしまうのです。

冒頭で触れた設計部門との一件。
製品の心臓部であるモーターの仕様が、量産開始の3ヶ月前に「これで決定です」と書かれたメールで共有されました。

そのモーターは、ドイツの特殊なメーカーの製品で、当時のリードタイムはなんと半年!
完全に間に合いません。

慌てて代替品を探す私と、「性能も落ちるし、設置スペースもないからダメだ」と譲らない設計担当者。
会議室は険悪なムードに包まれ、結局、上層部判断で発売が延期。
私は悔しくて、その日の帰りの電車でずっと天井を眺めていました。

驚きの効果!交渉前に勝負を決める”下準備”

設計・開発との交渉は、会議室の席につく前に、その勝負の8割が決まっています。
重要なのは「どう話すか」の前に、「何を準備するか」です。

まず、大前提としてマインドセットを切り替えましょう。
彼らは「敵」ではありません。「共に良い製品を作るパートナー」です。

私はそれ以来、自分を単なるバイヤーではなく、サプライヤー市場と社内をつなぎ、製品の価値を最大化する「価値創造のアーキテクト(設計者)」だと捉えるようにしています。

具体的な下準備は2つ

①設計部門のKPI(重要業績評価指標)を知る

設計者が何を評価されているのか、知っていますか?
新技術の採用数や、製品の軽量化率、特定の性能指標の達成度かもしれません。

彼らの評価基準を知れば、「この部品を使えば、あなたの評価にも繋がる軽量化目標を達成できますよ」といった、相手のメリットを提示できるようになります。

②日頃からの雑談が命

そんな時間ないよ!

と言いたくなる気持ち、よく分かります。
でも、コーヒーを淹れるついでに交わす2分間の会話が、後々の1時間の会議をなくしてくれるとしたら?

最近、〇〇の技術が面白いらしいですね

今度の部品設計、大変そうですけど順調ですか?

こんな何気ない会話から、相手の人柄や関心事、今抱えている悩みが見えてくる。
これが、いざという時の信頼関係の土台になるのです。

感動的な変化!明日から使える交渉術5選

下準備ができたら、いよいよ実践です。
私が20年以上の経験の中で見つけ出した、即効性の高い5つのコミュニケーション術を紹介します。

①【タイミングの術】「相談」は構想段階で

「決定事項」になってからでは手遅れです。
「サプライヤー選定の件で、少しご相談したいのですが」と、仕様が固まる前の、できるだけ早い段階で声をかけましょう。

相手に「自分で決めさせてあげた」という感覚を持ってもらうのがポイント。

②【翻訳の術】専門用語を「共通言語」に置き換える

私たちはつい「コスト」「納期」「供給リスク」という言葉を使いがちですが、それは彼らの言葉ではありません。
彼らの関心事は「品質」「性能」「開発スケジュール」
私たちの言葉を、彼らの言葉に”翻訳”して伝えましょう。

③【選択肢の術】「No」ではなく「代替案」を必ずセットで

無理な要求に対して、ただ「できません」と返すのは最悪手。
必ず複数の選択肢を提示しましょう。

その部品は製品リリースまでの納期が厳しいです。
スペックが近いA部品(即納可能)か、少しコストは上がりますが高性能なB部品(納期プラス1ヶ月)ならあります。
どちらの方向で検討しますか?

④【巻き込みの術】サプライヤーの技術勉強会を企画する

これは少し上級編ですが、効果は絶大。

設計部門も知らないような最新技術を持つサプライヤーを招き、部署横断の勉強会をあなたが主催するのです。

あなたが「有益な情報をもたらす存在」として認識されれば、自然と相談事が舞い込んでくるようになります。

⑤【貸し作りの術】小さな「Yes」を積み重ねる

心理学でいう「返報性の原理」を応用します。
相手からの「この部品のデータシート、急ぎで貰える?」といった小さな依頼や相談に、快く、そしてすぐに対応する。

この小さな「Yes」の積み重ねが、「あの人はいつも助けてくれる味方だ」という信頼に繋がります。

結論:明日から、あなたが変わるための3ステップ

社内調整は、スキルというより、少しのマインドセットの転換と、具体的な行動の積み重ねです。

Step1:
まずは、あなたと関わりの深い設計・開発担当者に「最近どうですか?」と声をかけてみる

Step2:
今抱えている案件で、この記事の5つの術のうち、どれか1つでも試してみる

Step3:
うまくいっても、いかなくても、その結果を自分なりに振り返ってみる

あなたは、単なる部品の手配屋ではありません。
サプライヤーという外部の知見と、社内の技術を結びつけ、まだ世にない価値を生み出す「価値創造のアーキテクト」なのです。

設計・開発部門を最高のパートナーにして、あなたの市場価値を、そして仕事の面白さを、もっともっと高めていきましょう。応援しています!

この記事が役に立ったら、ぜひ同僚の方にもシェアしてください!
みんなで資材調達の専門性を高めて、会社全体の製品力向上に貢献しましょう。

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