○○の件、来月から10%の値上げ交渉でお願いできますでしょうか…?
サプライヤー 値上げの連絡を受けて、どう返信すべきか分からず、ただただ画面を眺めていませんか?
価格交渉は、会社の利益に直結する、本当にシビアな戦場なんです。
資材調達 値上げの対応一つで、あなたの評価も大きく変わります。
突然の値上げ要請で、どう対応していいか全然分からないんです…
「検討します」って返事したけど、その後どうすれば…
その気持ち、よく分かるよ。でも安心して。
適切な手順を踏めば、必ず主導権を握れるから。
今日は実戦で使えるテクニックを教えるね。
愕然!「便乗値上げ」という名の不都合な真実
まず大前提として、最近の値上げ要請の背景を理解しておく必要があります。
サプライヤー側も、好きで値上げを言ってくるわけじゃないケースがほとんど。
原材料費の高騰、エネルギー費の上昇、人件費の増加など、こうした外部要因は彼らにもコントロールが難しい。
だから「相手も苦しいのかもな」という視点を少しだけ持つことは、冷静な交渉のスタートラインに立つ上で重要です。
「世間が値上げムードだから、うちもこの際…」と、
しれっと利益を上乗せしてくる「便乗値上げ」が結構な割合で混じっているのも事実です。
あなたの仕事は、この2種類を冷静に見抜き、たとえ正当な値上げ要請であっても、その影響を最小限に食い止める「防波堤」になること。
相手の言い分を鵜呑みにするのは、調達担当者の仕事ではありません。
便乗値上げ 見分け方のコツは、相手が提示するデータの精度と論理性です。
大雑把な説明や、計算根拠が不明な数字には必ず疑問を投げかけましょう。
鉄壁!値上げを「かわす」ための実践『初動』3ステップ
ここからが本題です。
値上げ交渉を要請されたら、この7つのステップを順番に、落ち着いて実行してください。
これだけで、交渉の主導権をグッと引き寄せることができます。
1. 慈愛の表情で「時間」を稼ぐ(即答厳禁)
値上げを告げられた瞬間、絶対にやってはいけないのがその場での返答です。
反射的に「分かりました」はもちろん、「いや、それは難しいです」と即答するのも悪手。
「○○様、大変重要なご提案、ありがとうございます。会社にとっても大きな影響がございますので、一度持ち帰らせていただき、上層部とも協議の上、改めてご連絡させていただけますでしょうか」
ポイントは「ありがとうございます」と、まず相手の連絡に感謝を示すこと。
そして「持ち帰って検討します」と伝え、ボールを一旦、自分のコートに置く。
時間稼ぎは、最も簡単で、最も強力な防御戦術です。
2. 冷静沈着に「書面」でボールを返す
口頭やメール本文だけの簡単な連絡で済ませようとする相手には、次のアクションで相手に仕事をさせましょう。
件名:【株式会社○○】価格改定に関するご依頼の件
ABC株式会社 ○○様
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の佐藤です。
先ほどお電話(またはメール)にてご連絡いただきました、○○の価格改定の件、
社内での検討にあたり、今回の価格改定の背景および根拠となります詳細資料を、
正式な書面にていただけますでしょうか。
具体的には、以下の点についてご教示いただけますと幸いです。
・価格改定の対象製品と、新旧価格リスト
・価格改定の実施希望時期
・今回の価格上昇の主な要因と、そのコスト構成比
・原価上昇の根拠となる客観的なデータ(市況指標など)
お忙しいところ大変恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。
このメールを送るだけで、根拠の薄い「便乗値上げ」を狙っていたサプライヤーは、結構な確率で躊躇します。
なるほど!
資料作成という手間をかけることで、相手の本気度を測るフィルターになるんですね。
その通り。真剣な値上げ要請なら、きちんとした根拠資料を用意してくるはず。
曖昧な要請は、この段階で自然に淘汰されるよ。
3. 孤軍奮闘はNG!上司を「共闘者」にする報告のコツ
これらの交渉を、決して一人で抱え込まないでください。
STEP 1(時間稼ぎ)、STEP 2(書面要求)と並行して、社内をうまく巻き込むことが極めて重要です。
悪い報告ほど、早く、簡潔に。
値上げ要請があったという事実は、その日のうちに上司に一次報告しましょう。
課長、A社より、製品Xについて10%の値上げ要請がありました。
現在、交渉のStep2に基づき、書面での根拠提出を依頼している段階です。
資料が届き次第、改めてご報告します
「事実」と「自分のアクション」をセットで伝えるのがプロの報告。
これだけで、上司は「お、こいつ、ちゃんと動いてるな」と安心します。
| 報告のタイプ | NG例 | OK例 |
|---|---|---|
| 感情的な報告 | A社がとんでもない値上げを言ってきてて、困ってます… | A社から原材料高騰を理由に10%の値上げ要請がありました |
| アクション提案 | どうしましょう… | まずはコスト構成比の開示を求め、相手のロジックを精査しようと思います |
客観的な事実と主観的な意見を分けて報告するのがコツなんですね。
感情的にならずに、冷静に状況を伝える。
その通り!上司を味方につけることで、交渉も有利に進められる。
一人で抱え込まずに、組織の力を活用することが大事だよ。
まとめ:恐れず、まずボールを返そう
値上げ交渉は、若手にとってプレッシャーのかかる仕事かもしれません。
しかし、正しい手順と心構えさえあれば、決して怖いものではありません。
今日からできる3つのアクションステップ
- Step1
まず「検討します」とだけ返信し、時間を稼ぐ。即答は絶対に避け、冷静になるための時間を確保してください。 - Step2
「根拠資料を書面でください」とメールを送る。本記事のテンプレートを参考に、ボールを相手に丁寧に投げ返しましょう。 - Step3
上司に「事実+自分のアクション」をセットで報告する。
「A社から値上げ要請があり、根拠資料を依頼中です」と、まずはそれだけでOKです。
安易な値上げを一つ防ぐことは、新しい顧客を一つ獲得するのと同じくらい、会社の利益に貢献する立派な仕事です。
今回紹介したテクニックを一つずつ実践すれば、あなたは会社の利益を守る、信頼される調達担当者になれます。
恐れずに、まずは最初の「ボールを相手に返す」ことから始めてみてください。
あなたのその一手間が、会社の未来を支えるのですから。応援しています!
なお、取適法における中小受託事業者(旧下請法における下請事業者)との交渉においては、
・協議を適切に行うこと、
・労務費,原材料費,エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引が「買いたたき」に該当するおそれがあること、
を十分に踏まえて、適切に価格交渉をして記録することが必要です。
【予告】本当の戦いは「ここから」です。
今回は、値上げ交渉における「鉄壁の初動」を解説しました。
しかし、プロのバイヤーにとって本当の戦いは、相手から資料が出てきた後の「ロジックバトル(質問攻め)」や「契約書交渉」です。
これらの、さらに深い交渉術も、 YouTubeチャンネル「わかる! 資材調達アカデミー Procuria」 で順次公開していきます。
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