BCPって、結局コストがかかるだけでしょ?
大企業がやることで、うちにはまだ早い気がする…。
この記事は、単なる災害対策マニュアルではありません。
企業の「信頼性」と「競争力」そのものを高めるための、戦略的なBCPと資材調達術をお伝えするものです。
この記事を読めば、あなたの会社はきっと変わります。
衝撃の事実! たった一つの部品が日本の産業を止めた日
BCPの主役は、もはや総務部ではありません!
結論から言います。 これからのBCPの主役は、モノの流れを司る「資材調達部門」です。なぜなら、そこが会社の事業継続における、まさに神経中枢だから。
ピンとこないかもしれませんね。 では、2011年の東日本大震災を思い出してください。
当時、ルネサスエレクトロニクスの那珂工場が被災したことで、自動車のエンジンなどを制御する「マイコン」という半導体の供給が完全にストップしました。
その結果、何が起きたか?
トヨタ自動車をはじめ、日本の自動車メーカーが軒並み生産停止に追い込まれたのです。
たった一つの部品工場が、巨大な日本の基幹産業全体を麻痺させてしまいました。
これは本当に衝撃的な出来事でした。
いやいや、BCPなんて結局コストがかかるだけでしょ?
たしかに、平時においてはただの費用に見えるかもしれません。
でも、いざという時に
うちは大丈夫です。ちゃんと製品を届けられますよ
と胸を張って言える会社と、
すみません、部品が入らなくて…
と頭を下げる会社、
顧客が心から信頼するのはどちらでしょう?
答えは明白ですよね😉
BCPは有事の際、競合他社をごぼう抜きにする最強の営業ツール、つまりプロフィットセンターへと変貌するのです。
忍び寄る脅威! サプライチェーンを襲う「4つの複合リスク」
「うちは大丈夫」なんて思っていませんか?
今のサプライチェーンは、私たちが思っている以上に、脆く、危険な状態にあります。
具体的に4つのリスクを見ていきましょう。
リスク1:人材資本の危機 👨🔧
あの会社のキーマンは、定年間近のベテランAさんだけ
数年前、あるサプライヤーについて、社内でそんな会話がありました。
みんな薄々リスクだと分かっていながら、具体的な対策を怠っていたんです。
その結果、どうなったか。
Aさんの退職後、彼しかできなかった特殊な加工部品の品質がガクンと落ちて、選別費用や顧客への補償で大赤字を出す羽目に…。
サプライヤーの「人」のリスクは、自社の生産ラインに直結するという、本当に痛い教訓でした。
リスク2:インフレの圧迫 💸
化学原料メーカーから、一本のメールが届きました。
来月から30%上げさせていただきます。
慌てて懇意の担当者に趣意を確認すると、申し訳なさそうに、「上の方針で、この価格を飲めなければ、供給を止めさせていただきますという、お知らせになります」という、無情な一方的な通告。
まさに足元を見られた状況です。
日頃から代替サプライヤーを探し、評価しておくという「投資」を怠った結果、利益を大きく削るか、生産停止か、という究極の二択を迫られます。
リスク3:物流のボトルネック🚚
まさか、あの路線便がなくなるとは…
ある日突然、運送会社から「採算が合わないため、貴社エリアへの路線便を廃止します」と連絡。
これまで翌日には届いていた部品が、中2日、場合によっては中3日もかかるように。
生産計画はメチャクチャです。 これが「2024年問題」の序章でした。
物流はもはや「いつでもそこにある」当たり前のインフラではないのです。
リスク4:頻発する供給ショック 🌏
コロナ禍中、多くの企業が半導体の確保に奔走しました。
しかし、そこには見落としがちな大きな落とし穴がありました。
それは、「半導体を製造するための装置」や「その装置を動かすための保守部品」のリスクです。
スイス製の製造装置に使われる、たった数千円の小さな保守部品の輸入が止まっただけで、なんと数億円規模の生産ラインが丸々1ヶ月も停止してしまった事例があります。
木を見て森を見ず、つまり、製品を作る野に必要な直接的な材料だけをみて、その他の間接材料や設備も代替がきくのかどうかもみなくてはダメなんですね。
今日から実践! サプライチェーンを鍛える4つの鉄壁戦略
では、どうすればこの複雑なリスクから会社を守れるのか?
明日から、いや、今日から実践できる4つの戦略を紹介します!
戦略1:サプライヤーポートフォリオの再設計
とにかく取引先を増やせばいいんでしょ?
そう思ったあなた、それは危険な間違いです!
重要なのは、ただの複数購買ではありません。
まずは自社の製品にとって「致命的な部材」、つまり、それが一つでも無くなると生産が完全に止まってしまう最重要部品を見極めることから始めましょう。
そして、その重要部品こそ、国内・海外、距離などを考慮して戦略的に複数購買先を確保するのです。
戦略2:「ジャストインケース」への発想転換
これまでは、必要なものを、必要な時に、必要なだけ調達する「ジャストインタイム」が正義でした。
しかし、時代は変わりました。
これからは「万が一の場合に備える」「ジャストインケース」への発想転換が必要です。
一般的に在庫は極力少ない方がよいと考えられがちですが、安全在庫を持つことも有効です。
安全在庫の考え方は、Excelでも簡単に計算できますよ。
簡易式
安全在庫量 = (日々の最大使用量 – 日々の平均使用量) × 発注リードタイム
高度な式
安全在庫=安全係数×使用量の標準偏差×√(発注リードタイム+発注間隔)
安全係数=NORM.S.INV(1ー欠品許容率)
発注リードタイムには、不測の事態に備える予備日数も入れておきましょう。
戦略3:サプライヤーとの「協調的レジリエンス」の構築
サプライヤーを、単に「評価」する対象として見ていませんか?
これからは、リスク情報を「共有」し、共に困難を乗り越えるパートナーとしての関係構築が不可欠です。
データも大事だけど、最後はやっぱり「人」かな
定期的にサプライヤーの工場へ足を運び、担当者だけでなく、工場長や経営者と直接話すようにしています。
そうした関係性の中での雑談から、
実は今、うちで使っているメッキ屋さんの経営が少し傾いてるみたいで…
といった、データには決して表れない「生の情報」を得られることがあります。
この雑談レベルの情報のおかげで、問題が顕在化する半年前に代替のメッキ業者を探し始め、危機を未然に防げた経験があります。
戦略4:財務的視点を取り入れたリスク管理
申し訳ないのですが、支払サイトを少し短縮していただけませんか?
サプライヤーからこう要望が来た時、あなたならどうしますか?
「ああ、いいですよ」と、単なる事務的な依頼として処理しては絶対にいけません。
それは、重要な経営悪化のサインかもしれないからです。
このサインがあれば、見逃さずにすぐに財務状況を確認し、与信管理を強化しましょう。
同時に、別のサプライヤへの発注比率を徐々に高めていくのがよいです。
準備をしていれば自社への影響を最小限に食い止めることができます。
知らないと損! 国の制度を使い倒すBCP強化の裏ワザ
でも、結局BCPってお金がかかるんでしょ?
そんな声が聞こえてきそうですが、心配は無用です!
国も中小企業のBCPを本気で後押ししてくれています。
知らないと損する公的支援を使い倒しましょう。
全ての入口「事業継続力強化計画」
まず絶対に押さえておきたいのが、中小企業庁の「事業継続力強化計画」認定制度です。
これは、中小企業が策定した防災・減災の事前対策に関する計画を、国が認定してくれる制度です。
認定されると、こんなメリットがあります。
・税制優遇(特定の設備投資で即時償却など)
・日本政策金融公庫からの低利融資
・ものづくり補助金などの補助金申請で審査時に加点がもらえる!
申請書の作成は手間ですが、それ以上のリターンが期待できます。
ポイントは、補助金の公募が始まってから慌てて準備するのではなく、公募の締切から逆算して、余裕を持って申請準備を進めることです。
必見!「ものづくり補助金」採択率を高める戦略
この認定制度をうまく使うと、「黄金サイクル」が生まれます。
- まず「事業継続力強化計画」を策定し、国の認定を取得する
- その認定を武器に「ものづくり補助金」を申請し、加点をもらって採択率をUPさせる
- 採択された補助金で、欲しかった最新設備を導入し、生産性を向上させる
- 生産性が上がったことで、さらに強固なBCP(例:代替生産ラインの構築)が実現可能になる
どうでしょう?
こうすれば、BCP強化と会社の成長を同時に実現できると思いませんか?
まとめ:効率性から信頼性の時代へ。BCPは最強の競争戦略である
もはや、平時のコスト効率だけを追い求める時代は終わりました。
いつ何が起きるか分からない現代において、有事の際にしっかりと供給責任を果たせる「信頼性」こそが、企業の価値を決める最大の源泉となります。
サプライチェーンは、単なるモノを運ぶための「鎖」ではありません。
あなたの会社と、その先にいるお客様の未来をつなぐ「命綱」です。
この記事を読んでくださったあなたが、まず最初に行動すべき3つのステップを提案します。
- 自社の製品で「これがないと絶対に作れない」という最重要部品を3つ書き出す。
- そのサプライヤーの工場がどこにあるか、Googleマップでピンを立ててみる。
- 中小企業庁の「事業継続力強化計画」のサイトをブックマークする。
たったこれだけです。
でも、この小さな一歩が、あなたの会社の未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
この記事が、その大切な命綱をより強く、しなやかにするための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
さあ、今日から、その第一歩を一緒に踏み出しましょう!
