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【配属ガチャ成功!】”地味な部署”だと思ったら、会社の利益を直接生み出す立役者だった件

あかり

配属ガチャ、うまくいったのかなあ…

資材調達部に配属されて一ヶ月。
新人研修を終えたばかりのあかりは、PC画面に並ぶ無機質な型番リストを眺めながら、何度目か分からないため息をついた。

私も新人時代、大阪本社の資材部で、営業部の同期の華々しい活躍を横目に見ては「自分の仕事っていったい何なんだろう」と、出口のないトンネルをさまよっているような気持ちになったものです。

ただただハンコを押すだけの毎日が、まるで色のないセピア写真のように感じられて…。

▼こんな方におすすめの記事です

・資材調達 配属されたばかりで、仕事の価値や面白さを見出せない方
・就職活動中で、メーカーの「縁の下の力持ち」である調達という仕事のリアルを知りたい学生さん
・他部署から見て「調達部って、普段何してるの?」と疑問に思っているすべてのビジネスパーソン

▼この記事であなたが得られること
・資材調達が「利益創出部門(プロフィットセンター)」と呼ばれる、その本当の理由がわかります。
・あなたの日々の仕事が、会社の経営にどれほど大きなインパクトを与えているかを具体的に実感できます。
・明日からの資材調達 やりがいを見つけ、立役者としての第一歩を踏み出せるでしょう。

目次

【絶望のランチタイム】輝く同期と、色のない私

その日の昼休み、事件は起きた。

社員食堂でカレーを食べていると、トレーを持った営業部の同期、ユウトが意気揚々と隣に座ったのだ。

あかり、聞いた!?
俺、先月担当した大型案件、ついに受注したんだ!
会社の売上に貢献できてマジで最高だよ!

太陽みたいな笑顔。彼の周りだけ、空気がキラキラしているように見える。

あかり

すごいじゃん!おめでとう!

心からの祝福を送りながらも、胸の奥がチクリと痛む。

あかりの部署は、今どんな感じ?

あかり

えっと…会社の備品とか、工場の部品とかを…買ってる、かな…

歯切れの悪い私の返答に、ユウトは「へえ、それも大事な仕事だよね!(よく分かってない顔)」とだけ言い、また別の武勇伝を語り始めた。

【突然の呼び出し】クールな先輩の、謎めいた一言

タカヤ

…あかりさん、何かあった?

不意に、隣の席から静かな声がした。指導員のタカヤ先輩だ。
PCの画面から一切目を離さずに、まるで私の心を見透かしたかのように言う。

あかり

いえ、別に…。営業部の同期が大きな売上げを上げたって言ってて、すごいなあって。

タカヤはあかりの方に向き直った。

タカヤ

『売上を立てるのが偉い』『コストを使うのは偉くない』…
そう思いがちだよね

図星だった。
私が「だって、そうでしょ…?」と、か細い声で反論すると、彼はふっと口角を上げた。

タカヤ

面白いものを見せてあげるよ。今日の16時、第3会議室に来て

多くの新人が陥る「資材調達は単なるコストセンター」という誤解。
実際は、調達部門こそが会社の利益創出の鍵を握っている部署なのです。

【衝撃の決算書】営業利益の半分を創り出した、立役者

16時きっかりに会議室のドアを開けると、タカヤ先輩はすでにプロジェクターの準備を終えていた。
スクリーンに映し出されていたのは、先日発表されたばかりの会社の決算短信。
営業利益が前年比で大幅にアップしたことを示す、右肩上がりの力強いグラフがそこにはあった。

タカヤ

この利益、何のおかげで増えたと思う?

あかり

それは…営業部の皆さんが頑張って、売上を上げたから…
ですよね?

すると、タカヤ先輩はゆっくりと首を横に振った。

タカヤ

売上は、目標を少し上回った程度だ。
実を言うと、この利益増の半分以上は、俺たち調達部が『創り出した』ものなんだよ

え…?どういうこと?頭が真っ白になった私を前に、タカヤ先輩はホワイトボードにペンを走らせた。

項目先期今期
売上100100
原価(調達コスト)800700
利益200300
タカヤ

いいかい?

例えば、君の同期が1,000円のモノを売ってきても、その製品を作るのに800円の原価がかかっていたら、会社の利益は200円だ。

でも、俺たちがその原価をサプライヤーとの交渉で100円下げることに成功したら、どうなる?…

そう、その100円は、まるごと会社の利益になる

「100円のコスト削減」が「100円の利益創出」に直結する。
当たり前のようで、全く気づいていなかった事実。雷に打たれたような衝撃だった。

中小企業実態基本調査(R6)によれば、日本の製造業の売上原価にしめる材料費・外注費の割合は平均で約66%にも達します。つまり、会社の支出の約半分以上は、私たち調達部が管理しているコストなのです。

タカヤ

10万円のコスト削減は、利益率によっては50万円の売上増に匹敵することもある。
これが、俺たちが『プロフィットセンター』…利益創出部門と呼ばれる理由だよ

このプロフィットセンターという概念について、簡単に言えば「売上を上げるのと同等の価値を生み出す部門」という意味です。

【最大の失敗談】安物買いの銭失いが、会社を滅ぼす

あかり

じゃあ、ただ安く買えばいいんですね!

興奮気味に言う私に、タカヤ先輩は初めて厳しい表情を見せた。

タカヤ

それだけなら、話は簡単すぎる。
安易なコストカットが、会社を滅ぼすことだってあるんだ

そう言って彼が語り始めたのは、自身の最大の失敗談だった。

私にもコスト削減のプレッシャーが重くのしかかっていた時期があった。
ある基幹部品の担当になった時、コストの要素を大きく判断して、海外メーカーにサプライヤーを切り替えたんだ。確かに、従来の仕入れ値より15%も安くなった。

でも、客先納入から2ヶ月後。
その部品が原因の不具合が多発。結果として、重大なクレームに発展した。
納入した部品から良品を選別したり、代替メーカを探して急いで評価するなど、大変だったんだ。

調達の仕事は、単なる価格交渉ではありません。
品質、納期、安定供給のリスク、サプライヤーの技術力…
これらの目に見えない価値を総合的に判断することが重要です。

タカヤ

『プロフィットセンター』というのは、ただコストを削る部署じゃない。
品質、納期、安定供給、そして未来の技術協力。
それら全てをひっくるめた『総合的な価値』を会社にもたらすことで、初めて本物の利益を創出できる。
単純に安く買うだけの仕事は、これからAIに取ってかわられるんじゃないかなあ

最近では、環境や人権に配慮したサプライヤーを選ぶ「ESG調達」が、投資家からの評価、つまり企業価値そのものに直結する時代になっています。
配属ガチャで調達部に配属されたあなたは、実は会社の経営戦略そのものに携わる重要なポジションにいるのです。

明日へのプロローグ:あなたも会社の立役者になれる

会議室を出る頃には、すっかり日が暮れていた。

タカヤ先輩の話は、私の凝り固まった価値観をガラガラと音を立てて崩していった。
私が今日一日、ただの事務処理だと思ってさばいていたあの部品の発注書。
あのメール一本一本の積み重ねが、会社の利益を直接支えている。

私たちは、ただモノを買っているんじゃない。会社の未来の利益を、創っているんだ

そう気づいた瞬間、自分のデスクにあった書類の山が、まるで宝の山のように見えてきた。

この記事を読んでくれたあなたも、きっと同じはず。
「配属ガチャが成功だったか」なんて、もうどうでもいい。

成功にするかどうかは、これからの自分次第なのだから。

では、立役者としての第一歩を、今日からどう踏み出せばいいか?
難しく考える必要はありません。まずはこの3つのステップから始めてみませんか。

立役者への3つのステップ

  • 担当業務の「お金の流れ」を意識する

    まずは、自分が発注している部品やサービスが、最終製品のコストの何%を占めているのか、先輩に聞いてみましょう。
    「木を見て森も見る」癖をつける第一歩です。

  • サプライヤーの「本当の価値」を探る

    次に、先輩や上司に「このサプライヤーさんと長年取引している一番の理由は何ですか?」と質問してみてください。
    コスト以外の「品質」「技術力」「対応力」といった、目に見えない価値がきっと見えてくるはずです。

  • 自分の「貢献」を一行でメモする

    どんなに些細なことでも構いません。
    「〇〇の交渉で納期を1日短縮できた → 工場の機会損失を防いだ」
    「〇〇という代替品を提案した → 品質を維持しつつコストを2%下げられた」
    のように、自分の仕事が会社の利益にどう繋がったかを言語化する習慣をつけてみてください。

調達は、会社の未来を創る仕事です。
まだ見ぬ革新的な技術を持つスタートアップを発掘する「冒険家」にも、世界経済の荒波からサプライチェーンを守る「航海士」にもなれる、無限の可能性を秘めたフィールド。

あなたのデスクにある一枚の発注書が、会社の未来を劇的に変える素敵な招待状かもしれない。
そう思うと、少しだけワクワクしてきませんか?

さあ、立役者としての物語を、今日から始めましょう!

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