特定の取引先1社について、供給が止まったり品質や経営が傾いたりするリスクを、10問で簡単に採点する診断です。
評価したい取引先を1社思い浮かべ、その相手について、財務の健全性、供給の実績、依存度と代替性、事業継続への備え、コンプライアンスと情報管理、という5つの領域から質問します。複数の取引先を比べたいときは、1社ずつ採点して点数を見比べてください。
各質問で、その取引先の状態に一番近いものを選んでください。
分からない場合は、確認できていないこと自体もリスクなので、低いほうの選択肢を選ぶと実態に近くなります。
各質問で、その取引先の状態に一番近いものを1つ選び、最後に「診断結果を見る」を押してください。
サプライヤーリスクとは何か
サプライヤーリスクとは、取引先(サプライヤー)に何かが起きて、こちらの事業に損害が及ぶ危険のことです。供給が止まる、品質が落ちる、値上げを迫られる、取引先が廃業する、法令違反や情報漏洩に巻き込まれる、といった形で表れます。長く安定して取引できている相手ほどリスクの点検を忘れがちですが、付き合いの長さと安全は別の話です。この診断では、財務の健全性、供給の実績、依存度と代替性、事業継続への備え、コンプライアンスと情報管理、という5つの領域を10問で採点し、低リスク・要注意・高リスクの3段階のどこにあたるかを判定します。
3つの段階
診断結果は、合計点に応じて次の3つの段階のどれかになります。高リスク(10点から22点)、要注意(23点から32点)、低リスク(33点から40点)です。点が高いほど、リスクは低いと見ます。
高リスク(10点から22点)
複数の領域で評価が低く、いま注意を向けるべき取引先です。供給が止まる、品質が落ちる、取引先が倒れる、といった事態が、他社に比べて起きやすい状態と考えられます。最初の一歩は、結果に出た「いちばん注意したい領域」から、事実を確認することです。とくに財務や依存度が低い場合は、代わりの調達先を早めに探しておくと、いざというときの打撃を小さくできます。
要注意(23点から32点)
大きな問題は見えていないものの、いくつかの領域に気がかりが残る取引先です。安定して取引できているように見えても、確認できていない点が積み重なっていることが多い段階です。評価の低い領域を1つずつ確認し、定期的な見直しの仕組みに乗せておくと、安心して付き合い続けられます。
低リスク(33点から40点)
現時点では、大きな不安の少ない取引先と考えられます。ただし、財務の状態も、供給網も、時間とともに変わります。低リスクという結果は「今は安心」を意味するもので、確認をやめてよいという意味ではありません。年に一度など、区切りを決めて点検を続けることをおすすめします。
領域別の見方と対処
この診断では5つの領域を見ています。財務の健全性、供給の実績、依存度と代替性、事業継続への備え、コンプライアンスと情報管理、の5つです。診断結果に表示された「いちばん注意したい領域」の節から読むと、次の一歩が具体的になります。
財務の健全性
取引先の財務が傾くと、供給の停止、品質の低下、突然の廃業といった形で、こちらの事業に直接はね返ってきます。決算書や信用調査の情報を一度も見ていない取引先ほど、いざというときの兆候を見逃しやすい傾向があります。
はじめの一歩: 取引額の大きい取引先から順に、信用調査会社の情報や公開されている決算を確認し、支払いの遅れや与信の変化に気づける状態を作ることが考えられます。
供給の実績
納期の遅れや品質のばらつきは、こちらの生産・在庫・信用に積み重なって効いてきます。一度の大きなトラブルよりも、小さな遅れや不良が慢性的に続くほうが、見過ごされやすく、損失も大きくなりがちです。
はじめの一歩: 主要な取引先について、納期を守れた割合や不良の件数を数か月ぶんでも記録に残し、印象ではなく事実で評価できるようにすることが挙げられます。
依存度と代替性
一社しか作れない品目や、調達額の大半を一社に頼っている状態は、その一社が止まった瞬間に事業が止まるリスクを抱えています。長い付き合いや価格の安さと引き換えに、いつのまにか代えのきかない状態になっていないか、点検する価値があります。
はじめの一歩: 一社にしか頼めない品目を洗い出し、代わりの候補があるか、切り替えにどれくらいの時間と費用がかかるかを、重要なものから調べておくことが考えられます。
事業継続への備え
災害・事故・火災・システム障害などで供給が止まる事態は、頻度は低くても、起きたときの打撃が大きいリスクです。取引先が事業継続計画(BCP)を持っているか、生産拠点や仕入れ先が一か所に集中していないかは、平時のうちにしか確認できません。
はじめの一歩: 重要な取引先に、供給が止まった場合の代替生産や復旧の見通しを尋ね、あわせて自社側でも重要品目の在庫の水準を見直しておくことが挙げられます。
コンプライアンスと情報管理
取引先の法令違反や不祥事、情報漏洩は、こちらが直接手を下していなくても、供給網の一員として自社の信用に傷をつけることがあります。反社会的勢力との関係の有無や、預けた図面・個人情報の管理は、取引開始時の一度きりの確認で済ませてしまいがちな点です。
はじめの一歩: 反社会的勢力でないかの確認や秘密保持契約の有無を取引先ごとに棚卸しし、更新が止まっているものから見直すこと、重要な情報を預ける相手には管理の状況を確認することが考えられます。
診断士バイヤーの読み解き
20年、買う側で取引先を見てきて思うのは、リスクは起きてからではなく、起きる前にしか手を打てない、ということです。
そして中小企業の現場でいちばん抜けやすいのは、派手な事件ではなく、財務と依存度の2つです。付き合いが長い相手ほど、決算を見なくなり、いつのまにか一社頼みになっています。
スコアの合計そのものよりも、どの領域が低いかを見てください。財務が低ければ倒産の兆候を、依存度が低ければ供給の停止を、それぞれ真っ先に警戒すべきサインです。
全部を一度に手当てする必要はありません。取引額が大きく、かつ評価の低い取引先から順に、低い領域を1つずつ埋めていくのが、現実的で足場の固い進め方です。
この診断の前提と限界
この診断は10問の簡易セルフチェックであり、中小企業診断士による正式なリスク評価や与信判断ではありません。評価は、答える方が把握している範囲の情報にもとづくため、把握できていない事実があると、実際のリスクと差が出ることがあります。この診断はすべての質問を同じ配点で合計します。実務では、財務や供給のうち一つでも致命的な問題があれば、他が良くても高リスクと見るべき場合があります。合計点はその一点突破のリスクをならしてしまうため、点数だけでなく、いちばん低い領域を必ず併せて見てください。回答はお使いのブラウザの中だけで処理され、どこにも送信・保存されません。結果は、取引先を見直す出発点を見つけるための目安としてお使いください。