MENU

【研究開発担当者へ】資材調達部門はブレーキじゃない。”開発スピードとコスト目標”を達成する最強の同盟軍だ。

エンジニア

また調達担当者から手続きのダメ出しか…。
これじゃ前に進まないよ…

もしあなたがそう感じているなら、この記事はきっと役に立ちます。

開発者の佐藤さんは、研究開発と調達部門との連携不足から、製品化目前でプロジェクトを一つ、潰してしまった経験があるのです。

この記事は、佐藤さんのように、もどかしい思いをしているあなたのために書きました。

▼こんな方におすすめの記事です

・開発スピード コスト削減を両立したいのに、部品調達がボトルネックになっていると感じる若手研究者や設計者の方
・プロジェクトの目標コストが達成できず、上司への報告に頭を悩ませているプロジェクトマネージャーの方
・「仕様が決まらないと動けない」という調達部門の協力の”常識”に、疑問を感じている全ての方

▼この記事で得られること

・調達部門を「承認ゲート」から「開発を加速させるパートナー」に変える具体的な方法
・仕様凍結前から概算コストを把握し、手戻りを防ぐための実践的なテクニック
・明日からすぐに使える、研究開発と調達の連携のための「30分キックオフミーティング」のアジェンダ

目次

絶望のコスト超過。プロジェクトを潰した日

佐藤さんは、当時としては画期的な製品の開発チームにいました。

技術的な課題を一つひとつクリアし、試作品の性能評価も上々。

「これは間違いなく会社の次の柱になる!」チームの誰もがそう信じて疑わなかったのです。

しかし、その夢は量産試作を目前にして、もろくも崩れ去ります。
設計がほぼ固まり、意気揚々と調達部門に量産を見据えた見積もりを依頼したところ、返ってきた答えは「目標コストの3倍です」。

慌ててコストダウンの検討を始めましたが、時すでに遅し。
コストが高いのは設計の根幹に関わる部品ばかりで、今からの変更は不可能。

結局、その製品が世に出ることはありませんでした。

製品コストの80%は設計段階で決まる

当時の佐藤さんたちは、頭では分かっていました。

しかし、「仕様も固まっていないのに、調達に相談しても無駄だろう」という思い込みが、開発スピード コスト削減の両方で致命的な失敗を招いたのです。

逆転の同盟軍。調達がプロジェクトを救った日

失敗から7年後。

佐藤さんは別の製品の開発プロジェクトを率いていました。
前回の失敗を繰り返すまいと、佐藤さんがプロジェクト発足と同時に取った行動は、ただ一つ。

佐藤さん

田中さん(調達部門の担当者)、30分だけ時間もらえませんか?

主要部品のコンセプトと、実現したい機能、そして「絶対に達成したい目標原価」だけを書いたA4一枚の紙を持って、彼のデスクに行ったのです。

田中さん

面白いですね!
この部品、うちの別事業部が5年前に検討して、付き合いのあるA社が詳しいですよ。

あと、こっちの部品なら、最近〇〇社(スタートアップ)が面白い技術を発表してました。
NDA結んで、すぐに話を聞きに行きましょう!

この瞬間、私の中で何かが変わりました。
調達部門は、単に「安く買う」部署ではない。「世界中の技術と、我々開発者をつなぐ情報のハブ」なんだ、と。

概算見積取得方法

概算見積取得方法:
 1. 対象部品、実現したい機能とターゲットコストを調達担当に共有
 2. 調達担当が、過去の類似案件や取引実績のあるサプライヤー数社に打診
 3. 各社から「もし、この仕様なら〇〇円くらい」という概算価格を入手

最終的に、この製品は目標原価を15%下回るコストで量産化に成功し、主力製品の一つにまで成長しました。

研究初期に効く”調達の5つの貢献”

エンジニア

でも、それは優秀な調達担当者がいたからでしょ?

う思うかもしれません。半分は正解です。
しかし、残りの半分は、私たちが彼らの能力を「引き出す」ための動きをしたからに他なりません。

開発の、特に研究開発 調達 連携の初期段階において、調達部門はあなたが思っている以上に多くの武器を持っています。

  • 面倒な契約や社内手続きは”餅は餅屋”でスピードアップ!

    新しいサプライヤー、特に海外の企業と取引を始める際、NDA(秘密保持契約)や共同開発契約など、法的な手続きは避けて通れません。
    調達部門は契約交渉のプロです。
  • 「1個だけ欲しい」を叶える、少量・短納期の裏チャネル

    「試作で数個欲しいだけなのに、どこも相手にしてくれない…」
    これは研究開発あるあるですよね。
    調達部門は、多種多様な調達チャネルを握っています。
  • 世界中の技術から”当たり”を見つける探索能力

    調達部門は、様々な製品カテゴリを担当する中で、多種多様なサプライヤーと接点を持っています。
    私たちが思いもよらない「宝の山」の地図を持っている可能性があるのです。
  • 設計の”当たり”をつける、概算見積とコスト分解

    仕様が固まる前に「もし、この部品をAからBに変えたら、コストはいくら変わる?」というシミュレーションができる。少なくとも、コストに大きく効いてくる仕様のポイントは教えてもらえます。
    これが最も強力な貢献かもしれません。
  • 知らないと”詰む”、法規・貿易の落とし穴回避

    海外から特殊な材料を輸入しようとしたら、国際輸送が多額の費用と時間がかかった…。
    調達部門は、国際輸送の複雑さや契約書に潜むリスクの専門家です。

反論に答えます!よくある”思い込み”FAQ

Q1. 仕様がほとんど固まってないのに、相談していいの?

A1. むしろ、固まってない段階だからこそ、価値があるんです!

仕様がガチガチに固まった後では、調達ができることは「その仕様で、いかに安く買うか」しかありません。
しかし、固まる前なら設計そのものを変える提案が可能になります。

Q2. まだ製品の方向性を議論している企画の段階なので、将来の目標コストロードマップが決められない…

A2. 仮でいいんです。
「高級車向けなら〇円、普及価格帯なら△円」といった複数のシナリオを置くだけでOK。
大切なのは、調達部門がコスト目標を決めるところから入ってくれることです。

結論:調達は、開発スピードとコスト目標を達成する”同盟軍”である

もうお分かりいただけたでしょうか。
調達部門は、あなたの開発プロジェクトを邪魔するブレーキではありません。
むしろ、あなたがまだ知らない道や、近道を教えてくれる最高のカーナビであり、共にゴールを目指す同盟軍なのです。

さあ、過去の佐藤さんのように一人で抱え込むのはもうやめにしましょう。
未来を変えるために、今すぐできることがあります。

  • 1. あなたのプロジェクトの「A4一枚サマリー」を作る
    目的、実現したいこと、現時点での課題、仮の目標コストなどを書き出す
  • 2. 調達部門の担当者にアプローチする
    「新しいプロジェクトの件で、30分だけ壁打ち相手になってくれませんか?」と声をかける
  • 3. キックオフミーティングを実施する
    以下のアジェンダを参考に、対話を始める
  1. 明日から使える!R&D×調達の”30分キックオフ”アジェンダ
  • プロジェクト概要の共有
  • どんな機能を実現したいのか?(What)この開発で、何を解決したいのか?(Why)

2. 現状の課題と”困りごと”の壁打ち

  • 「こんな技術を探しているんだけど…」
  • 「この部品のコスト感が全く分からなくて…」
  • 「試作で1個だけ欲しいんだけど、どうすれば…」

3. 次のアクションの確認

  • 「〇〇社にコンタクトを取ってみましょうか」(担当:調達)
  • 「今日の話を受けて、設計案を2パターン作ってみます」(担当:開発)
  • 「来週、また30分集まって進捗確認しましょう」

このたった30分が、あなたのプロジェクトの未来を大きく変えるきっかけになるかもしれません。
開発スピード コスト削減の両方を実現し、調達がタッグを組めば、もっと速く、もっと賢く、世の中をあっと言わせる製品を生み出せるはずです。

あなたの挑戦を、心から応援しています。

目次